京の日本酒と和菓子

VOL.10「レトロボトル吟醸酒」と「旅奴」

「レトロボトル吟醸酒」と「旅奴」

朝晩も少し冷え込み紅葉も色づいてきた。この季節、行楽や旅のお供の日本酒として「レトロボトル吟醸酒」がおすすめだ。キャップにお猪口が付いたこのボトルは、明治43(1910)年、月桂冠の中興の祖・大倉恒吉のアイディアで誕生した。揺れる汽車でもお猪口がスイングしてこぼれにくい「猪口つき小びん」として駅売りの酒に採用され、鉄道網の発展に伴って月桂冠の名が全国に知られるきっかけとなった。その復刻版がこの「レトロボトル吟醸酒」だ。
「かつて伏見は女酒と親しまれ、軟らかい水の性質により伏見の酒ははんなりとした甘口でした。今は四段仕込みで、昔の風味を生かしながら自然な甘口に仕上げています」と語るのは月桂冠大倉記念館館長の西岡成一郎さん。瓶形とレトロなラベルは発売当初の明治のデザイナー澤田宗山の図案をもとにしている。特徴ある瓶は郷愁をさそう。10度ほどに冷やしても、またぬる燗でもよい。記念館で試飲してお土産にする人も多い(記念館限定品だが、月桂冠オンラインショップでも購入可)。

館長 西岡 成一郎

月桂冠大倉記念館

館長

西岡 成一郎

このお酒に抜群に相性のよい和菓子が、洛北の住宅街にある御倉屋の看板菓子「旅奴(たびやっこ)」だ。小麦粉、卵、砂糖で焼き上げたボウロに波照間島産の黒糖を絡めた素朴な菓子で、俳人中村汀女も文章を残し、茶人にも好まれる。旅先で気軽につまめるようにと、大名行列の奴(やっこ)から命名され、レトロな和紙の袋入りで販売されている。

「旅奴」
/御倉屋(みくらや)

京都市北区紫竹北大門町78
TEL:075-492-5948

「旅奴」/御倉屋(みくらや)

この「旅奴」を齧(かじ)り自然な味わいの黒糖とボウロが口の中に広がったところで「レトロボトル吟醸酒」を口に含む。ほろほろとほぐれた菓子と酒の甘味が一つに溶け合い、甘味と旨味がぐんと際立つ。一粒の「旅奴」を三口ほどで食べ終わると、ちょうど猪口一杯の酒もなくなり、満足感とともに胃の腑も温まる。
この秋は、「旅奴」と「レトロボトル吟醸酒」を携えて電車に乗り、座席でちびちびやりながら、少し遠出して紅葉の穴場を目指すのもいいかもしれない。

「レトロボトル吟醸酒」

レトロボトル吟醸酒

伏見の伝統的な特徴である四段掛法を活用して造った、コクのある風味の吟醸酒。月桂冠大倉記念館限定商品(月桂冠オンラインショップでも購入可)。
アルコール分:16度以上17度未満
720mLびん詰:2,160円(価格は消費税込)

[甘辛:甘口  濃淡:濃醇]
月桂冠オンラインショップ #レトロボトル #復刻デザイン #限定商品 #懐かしい味わい
ハンケイ500m

(VoL.046)2018年11月10日発行

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